amazonマーケットプレイスでは中古CDを出品するとき「非常に良い」「良い」「可」の三段階でコンディションを選択します。でもわからないですよね。どの程度ならコンディションを「非常に良い」にしてよいものか。
「とても良い」ではなく「非常に良い」ですからね。言葉の圧が違います。
amazonは一応のガイドラインを提示していますが、別に購入者はガイドラインを見ません。彼らがどういう状態を「非常に良い」と受け止めるのかは実際に取引しながら学んでいくしかないんです。違和感を覚えたらガイドライン関係なくクレームが飛んで来ます。
筆者は2007年から14年間アマゾンでCDを販売してきました。今回はamazonマーケットプレイスにおいて中古CDを「非常に良い」のコンディションで出品するために注意すべきポイントをお話したいと思います。
交換用プラスチックケースはサンワサプライのFCD024シリーズ
CDを「非常に良い」で出品するための最初の条件としてはケース交換があげられます。「非常の良い」と期待して受けとったCDのケースが傷だらけで汚れていたらそれだけで印象悪いです。
というわけで新品ケースに交換する必要があるのですが各社製品の品質にはムラがあるため商品によってはかえってクレームに繋がる恐れもあります。100均のとかで送ったら怒られます。
最初に探しにいくのは家電量販店だと思いますが、最近は音楽CDが売れなくなったこともあり地方の郊外店だと標準サイズの厚さ10mmケースは置いていないことがあります。ケースはあっても薄型しかないという場合も多いです。
そんな中で筆者が住んでいるような地方都市でもエレコムのCCD-JSCNシリーズはよく見かけます(田舎なので観測範囲はヤマダ電機とケーズデンキしかないですが)。こういう黄色と赤色のデザインです。そのシリーズの10mmケースがこれです。
これビニールパッキングが不十分でリッド(蓋)やトレイが割れていたり目視できるほどの傷がついていることがあるんです。
このデザインの商品で2枚収納とか薄型のシリーズがあるんですけど、結論から言うと交換用としては全部やめといたほうがいいです。10mm厚のはまだいいんですけど他は微妙に形状が違うんですよね。黄色と赤色の奴はダメと覚えておいて下さい。
そもそも実店舗で販売されているケースは展示の過程で傷がついていることが多いです。ベタベタ触ってるうちにビニールパッキングが緩むということもあると思います。
散々紹介しておいてなんですが交換用プラケースはネットショップで購入することをお勧めします。大小さまざまな業者が存在していますが品質もまちまちなのでただ新品ならよいというものでもありません。
筆者は様々なサイトから様々な業者の製品を購入してきましたが、最終的にはサンワサプライのFCD024シリーズに落ち着きました。
サンワダイレクトという自社サイトで販売されています。amazonでも販売されてますが在庫切れになったりするので自社サイトが良いでしょう。
こちらは店舗では見たことがないです。展示されないで直送だから傷がつかないというわけです。こちらはもう10年以上利用してきましたが配送途上で壊れた場合を除きお客さんからケースに関するクレームはありません。
もっと大量に買うと割引になりますが保管してる間に傷になりそうなのでいつも50単位で買ってます。こちらの商品はトレイ中央のセンターピースがしっかりしているのもおすすめできる点です。
この部分メーカーによっては新品でも緩いことがあります。以前こんなクレーム受けました。
これは割れた場合でしたが、この部分が緩いと輸送中にCDがトレイから外れて傷がついてしまうのでお客さんからすれば非常に印象悪いです。その点でもセンターピースがしっかりしてるこちらのシリーズはおススメできます。
マキシシングルケースはコーシン電機のMIJシリーズ
現在ではこの形式で販売される音楽CDも少なくなりましたが中古品を扱う場合は厚さ8mmのマキシシングルケースも用意する必要があります。しかし結論から言うと量販店で販売されているものでは替えが利きません。
薄型のケースは各社スリムタイプとかスリムケースなどと表記して販売しています。例えばこういうものです。
一見するとマキシシングルケースに使えそうなんですけど厚さが違うんです。マキシケースは厚さ7mmなのですがこちらは5mm。
さらにマキシケースのように透明じゃなくて半透明になってます。元々は保管用の商品で日光を遮る目的だと思います。こういうやつです。
遙か昔に間違って買ってしまいましたが役に立つ時がきました(笑)。これでは透明のマキシシングルケースの代替にはなりません。
やれやれと思って売り場をぶらぶらしてたら透明な奴発見!
パッと見マキシケースみたいなんですけど、でもやっぱり…厚さが5mmなんですよね。間違って買っちゃうよ。というか買っちゃったよ(笑)。
このように量販店で販売されているスリムタイプとかスリムケースという名前の商品は透明・半透明問わずこの5mm厚タイプです。いままでつらつら書いてきましたが要するに店舗でケースは買っちゃだめということです。
結局ネットで買うことになるのですが10mm厚ケースはサンワサプライの商品で問題ありませんでしたが8mm厚に関しては代替できません。スリムタイプは厚さが5mmなんですよね。
マキシシングルと同じ透明でかつ8mm厚のものはコーシン電機のMIJシリーズとコムコムのK-MCDシリーズ、オーバルマルチメディアのOV1D-7M-MAXI-CLシリーズ等が選択肢になります。
いずれも量販店で販売されておらず各社販売サイトかamazon等のネット通販サイトからの購入となります(MIJシリーズはamazonでしか買えません)。ケースのためだけに各社サイトに登録するのも面倒なのでamazonでMIJシリーズを購入すればよいと思います。
筆者は14年の間にコムコムのK-MCDとコーシン電機のMIJシリーズを利用してますがこちらも配送途上の破損以外のクレームはありませんでした。
デジパックケースはプラスチックトレイ部分に注意
プラスチックケースは交換できますが紙製ケースではそうもいきません。紙ジャケットケースとか箱型のスリーブケースとかあります。これらはすぐに傷みがわかるのでいいんですが盲点はデジパックケースです。こういうのです。
見落としやすいですがこのタイプはトレイの部分にスレができやすいので注意が必要です。替えが利かないのでコンディション判定は厳し目でお願いします。
このトレイの部分がとてもスレができやすいみたいです。かなり目立って悪い印象を与えるので仕入れるときはご注意下さい。最初のころは良くクレームを貰ってました。
仕入れ時に可能ならば一度確認しておいた方がいいでしょう。中古販売全般にいえますが購入前に中身を確認できる店舗を見つけておくことも重要になります。
家電量販店で売っている修復機ではCDの傷は消せない
ケース交換の次に必要な条件として研磨機でのディスククリーニングが挙げられます。研磨機にも個人用・業務用と様々な種類がありますが研磨性能はまちまちです。基本的にはお金を出せばそれだけ性能が良い製品を購入することができます。
こちらは販売を始めた頃のクレームです。当初は安価で購入できるサンワサプライのディスク自動修復機を使用していました。
実は修復機というのは傷を消すものではなくまた再生できるようにするものなのですが、知らずに使ってたんですね。見た目としてはむしろ傷が増えるので本末転倒というものです。最初のうちによくある勘違いです。まぁ名称が紛らわしいんですけど。
家電量販店ではサンワサプライをはじめいろんなメーカーがCD修復機という名前で様々な商品を販売しています。例えばこんなのとか。
こちらはエレコム製なんですけど箱が傷んでるとのことでワゴンに入ってたんで試しに買ってみたんですがダメですね。「修復機」をうたっている商品は読み取りエラーをなくすことを目的としたもので傷を取るものではないことを改めて確認しました。
個人用研磨機はKENMACのDVDケンマくん
「非常に良い」と言えるレベルまで修復できる研磨機はSIMO-TECHのSIMO-R1からになるでしょう。筆者は業務用研磨機を導入する前は長年この商品を使っていましたがほぼクレームはありませんでした。
中古CD販売における研磨では完全に傷を消すというよりクレームを出さないことが目的なため多少傷が残ってもパッと見て気づかなかれば問題ありません。研磨機というのはそもそも微細な傷は残ってしまう商品なのですがその点では十分といえます。
個人向け研磨機として定番の商品でしたが残念ながら今年で販売終了となりました。パッドも生産終了なのでもう使えません。2007年に発売されたんですけど台湾の謎の会社でホントにこれで傷消えんの?ってなけなしのお金で購入したのを覚えてます。
実際使ってみるとなんでか知らないけど(失礼)消えるんですね。「これで勝つる!」(死語)とこの機械に人生賭けてamazonという海のものとも山のものともわからないサイトで中古CD販売というよく分からない商売で飯を食っていくことを無謀ながらも決意したことを昨日のことのように思い出します。
そして…うちの倉庫で眠ってた廃棄処分待ちの最後の戦友(とも)がこちら。
なんで複数あるかというと半年くらいで蓋がダメになるんです。パッドの部分が外れたり開閉する部分が割れたりと半年くらいで買い替える必要があったんです。
売上が少なく業務用が買えない初期の頃は研磨剤まみれになりながら一緒に戦ってくれました。足掛け14年…くそお世話になりました!
実用レベルの個人用研磨機はもうほとんどなくて現状KENMACのDVDケンマくんしか選択肢はないようです。現在はメインは業務用研磨機を使ってるんですが、内側の傷が取りにくいので個人用を合わせて使っています。ケンマくんすでにいらっしゃってます。
名前は知っていたのですが何せ名前が…(笑)。令和なのにアナログ感バリバリというね。理科の実験室でこんなようなの見た気がします。使ってみると意外とちゃんとしてるというかクレームが来ない程度には綺麗になります。ただ一つ問題点がありまして…
何故か蓋が半開きなんですよね(笑)。研磨中は蓋を手で押さなければいけない。なんでこんな設計なのか謎ですけどこういう大らかさが個人用研磨機というジャンルがどういうものかを物語っています。
こちらも SIMO-R1と同様にKENMACというまた謎の会社が販売してるのでいつ生産終了するのかわからないのでヒヤヒヤして使ってます。これが販売終了になったらもう業務用一本で行くしかないですね。新規参入するにはいきなり業務用を導入することになります。
一つ問題点があってこちらの商品はCDでは問題ないんですけどDVDだとプラスチックの内縁に研磨クリームが入り込んでしまいます。
DVDだと内縁にスキマがあるようです。ケンマくんの中央の白いポッチの部分に研磨クリームがついてそれが内縁に入っちゃうみたいなのです。
というわけでDVDケンマくんと名乗ってますがDVDの研磨には使用しないでください(笑)。こういうグタグタな所も個人向け研磨業界というものがいかにニッチな分野かおわかりいただけると思います。
DVDケンマくんは研磨クリームが高価なのでスリーエムのコンパウンド(型番HTRC3)を代用しています。
ちなみに左側の小さいのはケンマくんのクリームです。右が約3000円で左は約800円。いかに節約になるかわかると思います。こちらはSIMO-R1でも使用していましたがクレームが来たことはありませんででした。
ただしねり状タイプだと粘度が強くパッドにこびりついてしまうため必ずこのボトルタイプを使用してください。
業務用研磨機ならジャックスのBRASSA-A2FLAT
業者の方で50-60万の資金が出せるなら業務用研磨機で作業時間を大幅に短縮できます。業務用研磨機ならジャックスのBRASSAシリーズとPlentyのソメッグシリーズが定番です。
ソメッグシリーズはもっとも安いものでも50万以上しますが、BRASSAのA2FLATなら30万台で購入できます。というわけでうちのA2FLATくんです(くんはもう必要ない)。
上位版のPREMIUMより30万ほど安いですがパッド交換と研磨剤噴射が全自動か手動かの違いなので1日何十枚も扱わない限りA2FLATで問題ないでしょう。
REMIUMはA2FLATが壊れて修理に出すときに一度レンタルしてもらったことがあるんですが、全自動にすると専用の研磨剤を勝手に(失礼)噴射してしまうのでHTRC3に代替できずランニングコストが高くなるんですよね。パッドの自動交換くらいしかメリットがなかったので導入は見送りました。
筆者はこちらとケンマくんを併用していますが傷に関してクレームが来たことはありません。完全に傷が消えるというよりパッと見ではわからない程度に見えなくなるという感じでしょうか。
掲載画像や商品名と実物との違いに注意
また「非常に良い」で出品するとamazonで掲載されている画像と実物に違いがあるとクレームに繋がりやすいです。
出品者の画像はそれぞれコンディション説明欄で掲載するので別物なんですけど、そんなこと購入者にはお構いありません。そりゃそうです。
いやそれ自分の画像じゃないです~といっても通用しません。商品ページに掲載されている画像で判断されると思ってください。amazonで出品するということはそういうことです。
それと商品タイトルと実物の違いにも注意です。「非常に良い」で出品する場合はタイトルに含まれる特典がないとクレームに繋がる恐れがあります。以下の商品をご覧ください。
商品名に「三方背スリーブケース仕様」って入ってます。スリーブケースって袖みたいな形状(だからsleeve)でCDケースをその上から収納するケースのことです。
スリーブケースっていうと通常は上下だけ閉じてある形状のものを言うんですが背の部分が閉じてる場合もあります。こういうやつです。
こういうのを三方背スリーブケースっていいます。特にイラストのジャケットが売りのアニメ系で多いです。自分的にはあまり初回特典ってイメージはないんですけど一般的にはそういうことになってるみたいです。
ややこしいのがamazonの商品名と正式な商品名が違っていても、amazonで出品する以上そちらを優先しなければならないってことです。amazonで出品するということはそういうことです(二回目)。
本来初回特典ではないのにamazonの商品名で初回特典のように書かれていたら従わなければなりません。そうしないとクレームが来ます。ご注意ください。
ジャケットやバックインレイの色褪せとシワに注意
ジャケットやバックインレイ(裏ジャケット)に関しては色褪せと一度濡れたことによるシワに関するクレームが多いです。何故か破れや折れよりも多い印象があります。恐らくバリバリに使用感が出るからだと思います。「うわっ汚な!」みたいな。
さずかにこういう商品を販売することは少なくなったので手元にはないですけどかわりに華麗なるクレームの数々をご紹介。俺のクレームフォルダが火を噴くぜ!(死語)
最初の頃のクレームです。今じゃ考えられないようなの送っていたと思います。ホント申し訳ないです。どうでもいいですけどamazonさん販売データは残してくれなくても14年前のクレームは残してくれてるんですよ。さすがカスタマーオブセッションの会社です。
お客さんカンカンです。「二度と購入しない」はクレーム業界(?)の挨拶みたいなものです。慣れておきましょう。あと皆さん常識という言葉が好きですね。日々人の道を説いていただいております。
これはジャケットの他にケースにクレームがついてるんですけど、色付きとか特殊なデザインが施されてるケースだとオリジナルに拘る人がいるのでそういう場合はケースを交換して「非常に良い」で出すのはやめた方がいいでしょう。
「勝手に交換しやがって!」とクレームが入ることがあります。ちなみにクレームなのに「この評価で限界です」と書いてくれる人は恐らくいい人です。
一度濡れたものというのは生理的に人を不快にさせるようです。「とても、不快」。読点に言い知れぬ怒りが込められていてなんだか文学的な匂いすら漂ってきます。
あとジャケットと比べて見落としやすいのがバックインレイ(裏ジャケット)。ジャケットに比べてこんなとこ見ないだろ~と侮ちゃうんですね。
クレームでは「~べき」という形が多いですね。さすが「べき論」が好きな日本人です。
こちらはDVDのクレーム。その商品が好きでたまらなくて買った人にはレンタル落ちはわかります。
クレームなんですけど最後はお礼で終わるという中々高等テクニックです。シミはやっぱり使用感が増してクレームに繋がりやすいですね。自分が受け取ってもやっぱり嫌ですもの。ホント申し訳ありませんでした。
これらはケースやディスクのように対策はありませんので仕入れ時に中身を確認する必要があります。中身を確認できる店舗を見つけられるかがカギです。
クレームを受ける可能性は残るのでマーケットプレイス保証の案内を封入
以上経験に基づいてつらつらと注意点を挙げてきましたが何事にも例外はあると思います。amazonマーケットプレイスでは顧客と直接やりとりしないので購入者には不安が残ります。マーケットプレイス保証の案内を一筆入れておくとそれだけ安心感を与えることができると思います。
筆者はこれだけで事前連絡なしに低評価を付けられることは激減しました。簡単にしかも安価でできる対策なのでおススメです。ただし品質に気を付けるのは大前提です。
というわけで今回はこれまでの14年間を振り返るいい機会になりました。SIMO-R1のあたりなんて本来の目的そっちのけで完全に自分語りでした。
さて今後はさらにネット配信が進んで中古CD販売はおそらくレコード取引のように今以上にニッチな商売になると思います。そんな思いもあって記録の意味も込めて今回この記事を書いたわけでもあります。
これからも残るのかそれとも消えゆく商売なのか…さっぱり分かりませんが今後始めるという方がいましたら一つの参考にしていただければと思います。
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