Amazonの取引や出品でモヤっとしたとき、Amazonに直接言うだけじゃなく、公正取引委員会に苦情って出せるの?って気になりますよね。最近は”匿名でバレる?報復が怖い、返信はある?”みたいな関連ワードで一気に調べる人が増えてる印象です。
この記事では、私自身がAmazonマーケットプレイスで長く出品してきた目線で、「公正取引委員会がAmazonジャパンを独占禁止法違反の疑いで調査している」という今の状況を押さえつつ、出品者としてどう動くと情報が伝わりやすいかまで整理します。
- 公正取引委員会の調査で何が問題視されているか
- 独占禁止法と違反の考え方の基本
- 情報提供・申告の現実的な出し方
- 下請法違反など周辺論点の見落とし防止
Amazon 公正取引委員会 苦情の要点
ここでは、まず「今なにが起きているのか」を最短で掴むパートです。公正取引委員会の公表内容ベースで、疑いのポイント(価格条件・FBA利用など)を噛み砕いていきます。なお、根拠となる一次情報は公式ページにまとまっているので、読んでおくと話がブレにくいですよ。(出典:公正取引委員会『アマゾンジャパン合同会社による独占禁止法違反被疑行為に関する出品者からの情報・意見の募集について』)
独占禁止法の位置づけ
Amazonの話で公正取引委員会が出てくるとき、中心にあるのは独占禁止法(独禁法)です。ここを最初に押さえると、相談や情報提供の「狙い」がズレにくいかなと思います。独禁法は、ざっくり言うと「市場での競争がちゃんと働く状態」を守るためのルールです。なので、個別の購入トラブル(届かない、返品したい等)を解決する窓口というより、事業者間の取引慣行や、強い立場からの条件付け、競争を歪める仕組みのほうが主戦場になります。
今回のキーワードでいうと、「おすすめ出品(カートボックス/buy box)」がめちゃくちゃ重要です。私の体感でも、売上の波って「おすすめ出品の露出」とセットで動きやすいんですよ。だから、ここに条件が乗ると、出品者側は「実質的に従わざるを得ない」みたいな空気になりがちです。たとえば、価格の水準を「競争力のある価格」や「参考価格」に寄せること、配送や顧客対応の観点でFBA利用を促す(実質強制に近い)ことが、出品者の事業活動を制限している疑い、という整理です。
ここでポイントなのは、独禁法の世界だと「命令されたかどうか」だけじゃなくて、仕組みとして“そうならざるを得ない状態”が作られていないかも見られやすいところです。例えば、明確に「値下げしろ」と書かれていなくても、価格が一定基準から外れると露出が落ちる、カートが取りにくい、販売ページの表示が変わる、といった結果が繰り返し起きるなら、出品者側としては判断が縛られますよね。あなたが情報を出すときも、「言われた/言われてない」だけで終わらせず、何がトリガーで、どんな不利益が、どのくらいの頻度で起きたかを提供できると強いです。
あと、意外と見落としがちなのが、「独禁法=罰を与える法律」だけじゃない点です。調査の結果、仕組みが変わったり、運用が見直されたり、ガイドラインが明確化されたりすることもあります。出品者としては「今すぐ売上が戻る」みたいな即効性を期待しすぎないほうがいいけど、長期では環境が変わる可能性もある、という温度感が現実的です。
違反の判断は誰が行う
混乱しやすいんですが、私たち出品者が「違反だ!」と断定して戦うというより、違反の判断(法的な評価)をするのは公正取引委員会です。今の段階は「独占禁止法違反の疑いとして審査・情報収集をしている」という位置づけで、調査している=違反確定、ではありません。なので、あなたが情報提供するときも、怒りや断定を前面に出すより、何が起きたかを再現できる形で提出するほうが強いです。
たとえば、あなたの中で「これは絶対おかしい」と思っていることがあったとしても、公取委側は「その行為は、どの類型に当たり得るのか」「競争への影響はどれくらいか」「一時的な誤判定ではなく、継続・反復しているか」「特定の条件(価格・FBA)とおすすめ出品の可否が結び付いているか」みたいな観点で見ていくはずです。つまり、提出側ができる最強の形は、事実を提供することなんですよね。
あなたが書くべきは「結論」より「検証できる材料」
公取委が求めてるのは恐らく「Aという条件を満たさないとBという不利益が起きる」みたいに第三者が検証できる材料です。具体的には、通知文面のスクショ、価格変更の前後関係、露出やおすすめ出品の状態変化、FBA切替の前後関係、そしていつ発生したか。これらが揃うと、あなたの主観に依存しない説明になります。
書き方のコツ(断定しない言い回し)
文章は、断定系よりも「〜と考えられる」「〜の可能性がある」「〜の結果として〜が生じた」みたいに、事実と推測を分けて書くのがおすすめです。体感や解釈が悪いわけじゃなくて、評価の部分を分離しておくと、読む側が整理しやすいです。
この記事は一般的な情報整理です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。判断に迷うところに関しては最終的な判断は専門家にご相談ください。
あと「自分の情報提供で何か動くのかな…」って不安もあると思います。でも、こういう調査って1人の声が全部を決めるというより、複数の出品者の事実が積み上がって構造として見えることで強くなるんですよ。だからこそ、あなたの1件が構造の一部になれるように、書き方を工夫する価値があります。
調査の進み方と影響
公正取引委員会の調査は、出品者側の感覚だと「ニュースになった=すぐ変わる」って期待しがちなんですが、現実はもう少し段階があります。まずは審査のための情報収集が進み、論点の整理が進み、必要があれば追加の確認、関係者ヒアリング、資料収集…という感じで積み上げ型です。なので出品者としては調査が進むとすぐに変わるというより、情報が集まり論点の整理が進むのが先だと思っておくと精神的にラクです。
じゃあ、私たちは何を意識すべきかというと「単発の愚痴」よりも、他の出品者にも起きていそうな因果関係(価格の変更・FBA登録の有無・露出の変化)を時系列で示すことです。例えば、同じASINで、(1) 価格を上げたら露出が落ちた、(2) 元に戻したら露出が戻った、(3) FBAに切り替えたらおすすめ出品が戻った、みたいな因果関係っぽく見える前後関係があるならそれを淡々と書く。これが一番強いです。
「影響」を語るなら売上より状態の変化
売上の増減は分かりやすいんですが、広告、在庫、競合の変化でも動くので、証拠としては解釈が割れやすいです。だからまず「おすすめ出品の有無」「カート表示の状態」「検索結果での表示」「商品ページでのカート獲得状況」みたいな状態の変化を優先して記録します。その上で補助的に売上の変化を添えるという順番が良いかなと思います。
証拠として優先する順番
- 通知文面(競争力のある価格/参考価格/FBA関連の誘導が読み取れるもの)
- おすすめ出品の状態(前後の比較できるスクショ)
- 価格・送料・総額の設定(変更履歴が分かる形)
- 配送方式(FBA/自社発送)と切替タイミング
- 結果としての数値(売上、セッション、CVRなど)
なお、情報・意見募集の注意として「原則として個別回答はしない」という趣旨が明記されていることが多いです。提出しても「受理しました」「こうします」みたいな返信が来ない可能性は普通にあります。だからこそ、提出する側は「読まれたら分かる」より「読まれなくても伝わる」くらい、短文+箇条書き+添付(必要なら別送)で、読みやすい形にしておくのが現実的です。
立ち入りの意味と時期
「立ち入り(立入検査)」って聞くと、ちょっとドキッとしますよね。いわゆる“ガサ入れ”みたいに言われたりもしますが、ざっくり言うと、調査が一定進んで「現場で資料や状況を確認する必要がある」と判断された局面で行われることが多いです。出品者目線だと、立ち入りがニュースになった時点で「調査が本格化したサイン」と受け取る人が多いのも自然かなと思います。
立ち入りのニュースが出たときに、あなたがやると得すること
公正取引委員会がamazonジャパンに立ち入りしたのは会見(令和6年11月27日)で「昨日、立入検査」と言及したのでその前の日となります。11月下旬に動きがあった流れです。出品者としてやるべきことは「証拠の散逸」を防ぐことです。セラーセントラルの通知って、時間が経つと探しにくかったり、スクショを撮ってなかったりします。価格関連の表示(競争力のある価格/参考価格)も、常に同じ場所に出るわけじゃないので、見えているうちに確保するのがコツです。
出品者側として大事なのは立ち入りがニュースになったタイミングで、過去の記録を掘り返して整理しておくこと。私はこういう局面では通知文面と画面キャプチャを先に保存します。次に、価格変更の履歴(いつ何円にしたか)と、配送方式(FBA/自社発送)の切替履歴を並べて、時系列で説明できる状態にします。
あと、ここで一つだけ現実的な話をすると立ち入りがあったからといって、アカウントや出品運用がすぐに救済されるわけではないです。だからこそ、日々の運用(価格設定、在庫の補充、配送品質の確保、購入者対応)も同時並行で整えておくのが大事です。「調査があるから大丈夫」ではなく、「調査がある今こそ、運用の土台を固める」くらいがちょうどいいです。
独占禁止法違反の理由として疑われる論点
今回の「理由(論点)」は公式の整理でもかなりシンプルに示されています。おすすめ出品への掲載に関連して、①価格を「競争力のある価格」「参考価格」等にさせる、②FBAを利用させることで、出品者の事業活動を制限している疑いがあるというものです。
私たちの現場感で言うと、ここは「価格」だけの話じゃなくて、露出や配送条件(FBA/自社発送)が関係してくるのが厄介なんですよね。単に値下げを求められた、という話に見えても、その裏で露出が落ちた、カートが取れなくなった、送料込み総額の扱いで不利になった、みたいな連鎖が起きます。さらに言うと、同じ価格でも「配送の速さ」「返品対応」「顧客満足」に紐づく指標が絡むので、出品者側は“何を直せば戻るのか”が見えにくくなりがちです。
「価格要件」と「FBA要件」を切り分けて書くのがコツ
情報提供の観点では、価格の話とFBAの話は、できるだけ切り分けて書くのが良いです。例えば、価格だけ動かしてFBAは変えないテスト、逆にFBAだけ切り替えて価格は固定、みたいに、できる範囲で条件を分離すると、読み手が理解しやすいんですよ。もちろん、意図的にテストしていなくても、たまたま価格だけ変えた日、たまたまFBAを切り替えた日があるはずなので、その日の前後を拾うだけでも価値があります。
| 論点 | 出品者側で起きがちな現象 | 情報提供で書ける材料 |
|---|---|---|
| 競争力のある価格/参考価格 | 価格を上げる(または他社より高い)と露出が落ちる、カート獲得が不安定になる | 通知文面、価格変更の日時、前後のおすすめ出品状態(スクショ) |
| FBA利用の誘導 | 自社発送のままだとカートが取りにくい気がする、FBAにすると戻る気がする | 配送方式の切替日時、前後のおすすめ出品状態、同一条件での変化 |
| 不利益の具体像 | 露出低下、売れ行きの急落 | 画面キャプチャ、発生期間、再発頻度、競合状況のメモ |
ここで大事なのは、「Amazonのアルゴリズムだから仕方ない」みたいに片付けず、あなたの観測事実として“結果”を残すことです。アルゴリズムの中身はブラックボックスでも、出品者が受けた影響は現実にあります。だから、あなたの情報提供は「中身の推測」より「起きた事実の積み上げ」だけで十分価値があります。
“同等性取り扱い条項”の経緯
Amazonと公正取引委員会の関係は今回が初めてではありません。その代表が、2017年の「価格等の同等性条件/品揃えの同等性条件」問題です。これを知っておくと、「今回の調査って、どのくらいの重さなの?」という感覚が掴みやすくなります。
当時の事案では出品関連契約における同等性条件が問題となりましたが、Amazon側が条項の削除や権利不行使などの自発的措置を講じる旨を示し、これが確認されたため審査終了となりました。ここから読み取れるのは、独禁法の世界では「違反認定して罰する」だけがゴールではなく、競争上の懸念を解消する方向での是正も現実に起こり得る、ということです。
じゃあ今回も同じなの?というと、もちろん同じとは限りません。ただ、過去にどういう論点が争点になったかを知っておくと、あなたが情報提供で書くべき情報の粒度が見えてきます。たとえば、今回の論点(価格条件・FBA登録の有無)は、出品者の行動(価格や配送方式)に直接影響し得る要素なので、条件→結果のつながりを示す材料が重要になってきます。
今回の案件を読むときも、「過去にどんな論点が争点になったか」を知っておくと、情報提供の書き方のズレが少なくなります。過去案件を“暗記”する必要はなくて、「公取委は仕組みと影響を見てくるんだな」くらいの感覚を持てば十分かなと思います。
あともう一つ過去の話を知っておくメリットは、「今回の調査を見て、自分は何を準備すべきか」が早く決められることです。具体的には、価格変更の履歴、通知文面、FBA切替の履歴、そしておすすめ出品の状態。こういう“証拠になり得るもの”は、時間が経つほど集めにくくなるので、早めに固めておくと後悔しにくいです。
Amazon 公正取引委員会 苦情の出し方
ここからは行動パートです。出品者として、どこに何をどう出すと「調査に使える情報」になりやすいかを整理します。
情報提供で伝えるべき事実
公正取引委員会の今回の情報募集は、出品者からの情報・意見を集める形です。フォームでは「おすすめ出品(カートボックス/buy box)」に絡む価格条件やFBA利用の有無にフォーカスした情報が求められています。ここは、あなたが何をどこまで書けばいいか迷いやすいところですよね。
私のおすすめは、「言いたいこと」を先に書くんじゃなくて、事実の骨組みを先に作ることです。骨組みがあると、あなたの主張が自然と伝わるようになります。逆に、最初に気持ちから書くと、読む側が「で、いつ、何が起きたの?」ってなりやすいんですよね。
私ならこう書く(時系列が最優先)
意見より先に、まず事実を短文で積みます。例えばこんな情報の粒度です。
- いつから/いつまで(日時・期間)
- 対象ASIN/SKU、FBAか自社発送か
- おすすめ出品の獲得/喪失や露出の変化
- 競争力のある価格/参考価格といった文言を含む通知
- FBA利用の誘導が疑われる事象
- 応じない場合の不利益(露出の低下、なんらかの措置の示唆など)
ここに、あなたの言葉で「私はこう解釈した」を少し足すのはOKです。ただし、順番としては最後が良いです。先に事実、そのあと解釈。これだけで文章の説得力が上がります。あと、可能なら「同じ現象が何回起きたか」も書くと強いです。1回だけだと誤判定の可能性もあるけど、複数回だと“構造”として見えやすいです。
資料添付の現実ルール
重要なのは、フォーム自体には資料を添付できない点です。資料を出す場合は、フォーム回答とあわせて指定のメール宛に送る運用になっていることが多いので、提出前に案内をよく読んでおくのが安心です(件名指定、サイズ上限、分割送付など)。
私なら、添付(別送)が必要な場合は、本文側に「添付で送った資料の一覧」を書きます。例えば「A:通知スクショ3枚(2024/11/xx)」「B:価格変更履歴(2024/10/xx〜)」「C:おすすめ出品状態の比較スクショ」みたいに、添付の目録を作るイメージです。これをやると、読む側が見落としにくいです。
| 証拠の種類 | 分かること | 集めるときのコツ |
|---|---|---|
| 通知文面(スクショ) | 「競争力のある価格」「参考価格」「FBA」などの文言・誘導の有無 | 日時が写るように撮る/全文が見えるように複数枚でもOK |
| おすすめ出品の状態(商品ページ) | カート獲得状況・表示の変化 | 価格変更の前後で同じ角度(同じ画面)を撮る |
| 価格・送料・総額のメモ | 価格条件と結果の紐づけ | 「商品価格」だけでなく送料込み総額も残す |
| 配送方式(FBA/自社発送) | FBA利用の有無と結果の差 | 切替日とその前後の状態をセットで残す |
価格の扱いで「そもそも自分の設定が原因なのか、Amazonの判定なのか」が切り分けしづらい場合は、先にセラーセントラルの価格まわり(セール設定、クーポン、送料、税、最低価格・最高価格など)を整理してから情報をまとめると、話がブレにくいです。
スクショに「どのASINの、どの出品で、どの画面か」を一言メモしておくと、あとで自分も迷子になりません。未来の自分を助けるつもりでやっておくといいです。
窓口の種類と使い分け
検索では「苦情」って言われがちですが、実務的には大きく情報提供と申告の使い分けになります。ここを整理すると、「どこに出せばいいの?」が一気にクリアになります。あなたがやりたいのが、(1) まず状況を伝えて調査材料になってほしい、のか(2) 特定の行為を“違反の疑い”として正式に問題提起したい、なのかで最適ルートが変わります。
感覚的には、初動は情報提供が向いていることが多いです。なぜなら、情報提供は「こういう現象が起きた」という材料を出せば成立しやすく、法律構成の完成度を最初から求められにくいからです。一方、申告は、行為類型や不利益、継続性などをもう少し整理して書く必要が出てきます。もちろん、あなたが得意なら最初から申告でもいいですが、迷うなら情報提供で“材料”として出すのが現実的です。
| 区分 | 向いているケース | 出す内容のコツ |
|---|---|---|
| 情報提供(今回の募集) | おすすめ出品、価格条件、FBA利用などの実態 | ログと画面、時系列、通知文面 |
| 申告(独禁法違反被疑事実) | 特定の行為を「独禁法違反の疑い」として伝えたい | 行為類型と不利益、反復性、相手方との関係 |
| 相談 | 制度の考え方を確認したい | 結論を求めず、事実と疑問点を整理 |
そしてもうひとつ重要なのが、経産省ルートです。透明化法の枠組みがあり、公取委(執行)×経産省(透明化法の枠組み)をセットで見ると全体像が理解しやすいです。要は、「どの法律のどの枠で問題になっているか」を意識するほど、あなたの文章の焦点が合いやすくなります。
迷ったら「目的」で決める
迷ったら次の質問で決めます。「私は、いま困っている現象を“調査に役立つ材料”として渡したいのか」「それとも、明確に“違反の疑い”として評価を求めたいのか」。前者なら情報提供、後者なら申告、制度理解なら相談。目的が決まると書くべきことも自然に決まります。
情報提供がハマる人:まだ材料が散らばっていて、とにかく事実を伝えたい人。
申告がハマる人:行為のパターンがはっきりしていて、同じ不利益が繰り返し出ている人。
下請法違反の可能性も確認
「下請法違反」は、Amazonマーケットプレイスの出品者全員にそのまま当てはまる話ではないですが、取引形態によっては視野に入ります。特に、あなたがメーカー・納入側として、返品、減額、協賛金的な負担、根拠不明の金銭要求など取引上の立場が弱い状態で不利益を受ける構図があるなら、独禁法の優越的地位の濫用と同じく、下請法的な観点も一度チェックしたほうが安全です。
ここで一番大事なのは、「自分はどの取引形態なのか」を言語化することです。同じAmazonでも、マーケットプレイス出品(第三者が出品して販売)と、納入取引(小売・買取のような形で納める)では、論点が変わります。出品者のあなたが“どっち側”にいるのかで、問題の整理がまるで変わるんですよね。
実際に、Amazonジャパンは過去に、納入業者に対する行為が独禁法上の疑いとして確約手続に入り、確約計画が認定された経緯が知られています(ただし、違反認定そのものではない旨が示される形です)。この話は、「過去にも取引関係の力関係が論点になった」ことを示す材料として押さえておく価値があります。
当時の整理で出てきがちな類型は、減額、金銭提供、返品、在庫補償契約などがあります。あなたの取引が「出品(マーケットプレイス)」なのか「納入(小売・買取)」なのかで、論点が変わるのがポイントです。もし納入寄りなら、契約書や発注書、減額の根拠、返品条件の履歴も“証拠”になり得ます。
あなたがチェックすると良いサイン
下請法や優越的地位の濫用を疑わせる論点が出やすいのは「断れない雰囲気で、負担が一方的に増える」パターンです。例えば、説明が曖昧なまま費用負担を求められた、返品が急に増えた、減額理由が不明確といったケース。マーケットプレイスの出品でも、もし“取引の形”が実質的に納入に近いなら、視点として持っておくだけでも損しません。
下請法や独禁法の当てはめは、事実関係と契約形態で結論が大きく変わります。迷う場合は、専門家や公的窓口への相談も検討してください。
Amazon 公正取引委員会 苦情のまとめ
Amazonで公正取引委員会に苦情を考えるときは、まず「個別の購入トラブル解決」なのか「出品者・事業者として取引条件や露出条件の問題」なのかを切り分けるのが近道です。ここを間違えると、相談先も文章もズレて、疲れるだけになりがちなんですよね。
2025年に中心になった論点は、公正取引委員会がAmazonジャパンについて、おすすめ出品(カートボックス/buy box)を巡る価格条件やFBA利用に関して、独占禁止法違反の疑いで審査を行い、出品者から情報・意見を募集している点です。あなたができる一番の貢献は、断定や感想よりも、時系列で再現できる事実を保存しておき提供することです。
情報提供をするなら感想よりログ。通知文面、画面キャプチャ、時系列の前後関係、そして「応じなかったときに何が変わったか」を固めると、情報の質が上がります。日々の運用(アカウント健全性、購入者対応、在庫や配送品質)も絡むので、提出と並行して“運用の土台”も整えておくと安心です。いま困っているポイントだけじゃなく、あとから説明できる形にしておくと、未来の自分がラクになりますよ。
海外発送をやっている人は、配送・税務・返品の要素も絡んで誤解が生まれやすいので、越境まわりは別で整理しておくと安心です(これは公取委の論点というより、日々の事故防止の話として、です)。
最後にもう一度。制度や運用は更新されます。正確な情報は公式サイトをご確認ください。提出内容や法的評価で迷う場合は、最終的な判断は専門家にご相談ください。



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